2年程前にお作りさせて頂いた方のその後の事例です。
当時はかなり強い近視のメガネを掛けていらっしゃり、また大きな上下斜位がありましたが放置をされている状態でした。
複視はないが、間歇的に片眼抑制しているような状態で、主な訴えも車の運転が苦手、眼の疲れ、肩こり、頭痛が慢性的にあるということでした。
2年前にお作りしたメガネは、近視の度数を4段階弱めて、上下斜位を調整するプリズムを組み込みました。
ただその時は上下斜位プリズムに関しては装用感的にちょっと慣れないということで1/3程で抑えた度数にさせて頂きました。
それでも大分見え方は楽になったということで特に違和感なく過ごされていたようですが、たまたま不注意で壊してしまったのと、前回の時にもう少し調整が必要であるということを思い出しての再来店して頂きました。(ありがとうございます)
今回測定しても同じくらいの上下斜位がありましたので今回は2/3程度プリズム矯正をし、また近視度数もさらに2段階ほど弱くしました。
仮枠テストで近視度数を落としても「今までよりももっと楽な感じがするし、見え方も変わらないよ」とのことでした。
また両眼視や立体視に関しても以前に比べると格段に向上をしていました。
最終的に初めて来店された時から2年程で6段階ほど近視度数は下げたことになります。
これだけ度数が弱くなるのはかなり稀なのですが、これは上下斜位の影響も強くあったと考えられます。
上下斜位があることで、眼を動かす筋肉に負荷がかかり寄り眼の動きもかなり苦しそうな状況でした。無意識的に何とかしようと調節力を使うことで寄り眼を補っていた可能性が高かったのではないかと考えられます。
実際に上下斜位をプリズムで矯正すると、眼球運動への負荷量が減るので寄り眼もかなりスムーズに行なえるようになり、相乗効果で無用な調節の緊張・力みがとれることで弱い度数の近視度数でも見えるようになるのでしょう。
この方の場合は近視の度数進行というよりも視機能的な問題が原因で見え方を阻害していたのですが、何が原因なのか分からないので、とりあえず視力が落ちたので近視の度数を上げてしまった・・・
結果それが眼に対して、ただ負担を増やしただけで眼の疲れや肩こりや頭痛といった不調につながってしまったと言えます。
近視の度数を上げることは本当は最も慎重に行なうべきで「近視の度数が上がってしまった原因は何であるのか?」を考えた上で、どのように対処していくべきかを考えて、時にはご要望と違うことに関しても勇気を持って提案をしていくことが大切になります。
メガネの尾沢(尾沢視覚研究センター)
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